回復体位とは、呼吸はあるが意識がない傷病者にとらせるべき姿勢として、「救急蘇生法の指針2015(市民用・解説編)」(※)でも推奨されている姿勢です。この姿勢を傷病者にとらせることで、無理な姿勢によって軌道が狭くなったり、吐物が喉に詰まったりするのを防ぐことが出来ます。
AEDの使用後に、呼吸は戻ったけど意識が依然としてない、という場合にも回復体位は使うことができます。
身体を横向きに寝かせて(側臥位)、下側の手を前方に伸ばし、上側の手の甲を頭の下に置きます(手の甲に頭を乗せた状態)。上側の膝を90度の角度で曲げて床に接触させて支えとし、姿勢を安定させた状態が回復体位です。
傷病者の安静を確保するのに効果がある姿勢としては、回復体位以外に次のようなものがあります。
仰臥位はいわゆる仰向けの姿勢です。身体全体に無理な緊張やこわばりを与えない姿勢であり、AEDを利用する際に傷病者にとらせる姿勢でもあります。
座位は座った姿勢です。意識と呼吸があるが、胸の苦しみや呼吸困難を感じている傷病者にとらせることができます。
なお、座位には椅子に座った「椅座位(いざい)」やベッドの端といった背もたれのない場所で足を降ろして座る「端座位(たんざい)」、足を伸ばした状態で床にペタリと座る「長座位(ちょうざい)」といった種類があります。
半座位とは、斜め45度以下の背もたれに状態を預ける姿勢です。仰臥位と座位の中間の姿勢であり、胸の苦しみや呼吸困難を感じている傷病者に加えて、脳血管障害といった頭部の障害が疑われる傷病者に適した姿勢です。
下肢挙上は身体を仰向けに寝かせつつ、足部を頭部よりも高くする姿勢です。貧血や出血が原因で血圧が下がった傷病者にとらせます。
回復体位が必要な状況とは、呼吸はあるが意識がなく、こちらの呼びかけに反応がないような状況です。意識がなく呼吸も正常ではない場合には、直ちに心肺蘇生法とAEDを実施する必要があります。