AEDは店や学校、駅構内など様々な場所に設置されており、いつどこで誰が倒れたとしても、すぐに動かせるよう用意されています。緊急時には知識の有無にかかわらず、すぐにAEDを使用して人命を救助するのが理想ですが、知識のない一般市民がAEDを使用することに対し、恐怖を覚える人も少なく在りません。
もしも仮にAEDを使用して、結果的に倒れた人を助けられなかった場合…。結果的に言えば、法的責任を負う可能性はまず考えられません。
救命目的でAEDを使用した場合には、悪意や重大な過失がない限り、民放698条「緊急事務管理」が成立し、訴えられるような可能性は考えにくいのが現状です。
「医師でなければ医療行為をしてはならない」というのも周知の事実ですが、現場に居合わせた一般市民のAED使用に関しては、この限りではありません。
仮に一般市民がAEDを使用して、倒れている人を助けられなかった場合でも、相手を害する目的がなければ損害賠償責任を負うことはありません。そもそもAEDは除細動を行うべき状態でなければ通電できないように設計されているため、悪意や重過失の可能性は考えられにくいと言えるでしょう。
例えば看護師や教師、イベント主催者など…普段の仕事の内容や活動領域の性格からAEDの使用が予想される人は、一般市民とは違ったケースにあてはまります。ただし様々なケースが予想されるため、職種ごとに緊急事務管理の規定が適用されるかを検討する必要があります。また、AEDは使用条件がそろわなければ起動できない仕組みのため、過失が認められる可能性も低いでしょう。
AEDを使用すべき場合に使用しなかったというケースには責任を問われる余地がありますが、使用して助けられなかった場合には、刑事責任を問われる可能性は低いと言えます。
また、勤務時間外にAEDを使用した場合には、職業に関係なく一般市民として扱われます。
職業や知識などは十人十色ですが、誰にだって誰かの緊急事態に遭遇する可能性はあります。AEDは使用するべき状態ではないと起動できない仕組みになっていますから、もしも緊急事態に遭遇したら、臆せず近場のAEDを使用しましょう。一般人ならまず過失に問われる心配はありません。AEDはボタンを押せば音声ガイダンスに従うだけで操作できますから、初めてAEDに触れるという人でも問題ありません。
最も避けるべきなのは、AEDに尻込みして助けられたかもしれない命を助けられないことです。倒れている人を発見したら、責任などは気にせずすぐに119番通報をし、胸骨圧迫やAEDの使用を心がけましょう。