2004年から一般市民の使用が認められ、都営地下鉄やJR東日本などの公共交通機関を皮切りに普及が進んだAED。
現在は空港や学校、球場などさまざまな公共施設でその姿を見掛けることが多くなりました。
今後AEDの普及はますます広がることが予想されていますが、特に最近になって導入が進んでいるのが土木建設業界です。
AED=公共施設というイメージが定着しているため意外に感じるかもしれませんが、実は土木建設業がAEDを導入することにはさまざまなメリットがあるのです。
今回は土木建設業にAEDが必要な理由を紹介するとともに、実際の導入事例や口コミ評判などの情報をまとめてみました。
土木建設業がAEDを導入すべき理由は大きくわけて3つあります。
一般的なサラリーマンに対し、土木・建設現場で働く作業員は業務中の事故に遭う確率が高い傾向にあります。
国土交通省と北陸地整が共同でまとめた資料によると、平成元年以降、建設業の死亡者数の推移は右肩下がりに減少しているものの、全産業の死亡者数に占める建設業の割合は30~40%と高く、平成元年以降ほぼ横ばいの状態で推移しています。
[注1]北陸地方整備局 企画部:工事事故の発生状況と安全管理について[pdf]
そこで土木建設業ではさまざまな安全対策を取り入れていますが、その中のひとつがAEDの導入です。
万一の事故が発生した場合、救急車が到着するまでにAEDで人命救助措置をとっておけば命を取り留めたり、社会復帰するまでの時間を短縮したりする効果が期待できるのです。
作業員が安全に仕事をするためにもAEDはなくてはならない存在と言えるでしょう。
土木建設業者にとって、条件の良い公共事業の発注を受けることは大きな利益につながります。
当然多くの業者が入札を行い、国や自治体は最も有利な条件を出したところに仕事を発注するという手はずになっています。
ここでいう「有利な条件」にはさまざまな要素が含まれますが、特に国や自治体が重視しているのが安全衛生に関する項目です。
万が一の事故が発生した場合、迅速な処置を行えるAEDを導入している業者であれば、国や自治体に対して安全性の高さをアピールすることができ、より有利な状態で入札に臨むことができます。
土木建設現場は騒音や粉じんなどの問題で近隣住民に多少なりとも負担をかけることがあります。
そのため、地域への貢献は不可欠となりますが、手軽に持ち運べるAEDを導入していれば、近隣で不慮の事故などがあった場合、すぐさまサポートに駆けつけることができます。
AEDは公共施設には設置されているものの、一般家庭で所有しているケースは少ないので、こうしたサポートは少なからず地域貢献につながることでしょう。
土木建設業が実際にAEDを導入した事例の一部を紹介します。
こちらは建設現場ではなく、本社の玄関にAEDを設置した事例です。
設置した企業は自社で働く社員はもちろんのこと、近隣地域住民や本社付近を通りかかった人の万が一に備えたいという思いからAEDの設置に踏みきったそうです。
会社内という閉ざされた空間ではなく、外に開かれた玄関口に設置することで誰でも手にとって使える環境を整えています。
こちらは建物ではなく、工事用の車両にAEDを導入した事例です。
屋外使用がメインなので防塵防水機能を備えた機種を選んだとのこと。
また、現場で事故が発生した際に迅速に対応できるよう、メーカーが実施していたAEDの講習も実施し、万一への備えを万端にしています。
実際にAEDを導入した土木建設業の方の口コミ評判を紹介します。
工事現場に設置するためにAEDをレンタルして設置しました。使用する機会はないに越したことはないですが、設置しているだけでも近隣住民の方に周知できてよかったです。
また、具体的な事故の事例紹介とともに安全教育を実施することで、作業員の危機管理能力を底上げできました。