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心停止後の救命率とAEDの関係性

2009年の東京マラソンでタレントの松村邦洋さんが走行中に心停止に陥りましたが、AEDによって一命を取り止めました。多くのメディアで報道され、AEDが認知されるきっかけとなったので覚えている方もいらっしゃるでしょう。

心停止は1分1秒を争う症状です。2000年に発表された論文(※1)にて、心室細動による心停止後、AEDの処置が1分遅れるだけで命が助かる可能性は7~10%下がることがわかっています。

心停止から1分後にAEDで処置した場合に助かる可能性は90%ですが、心停止から8分後に処置した場合に助かる可能性は20%以下に下がってしまうのです。

ちなみに、東京消防庁が発表している2017年(平成29年)のデータ(※2)によると、都内の救急車が出動してから現場に到着するまでの平均時間は7分19秒。

つまりAEDを設置しているかどうかが、誰かの命を救うカギとなるのです。

AEDによって助かる心停止の種類

AEDは、一般的に心停止(脈や血圧に異常が起こり、心臓の機能が保てなくなる状態)に用いられます。ひとくちに「心停止」と言っても、その要因はさまざま。AEDが有効なのは「心室細動による心停止」と「心室頻拍による心停止」です。

心室細動(VF)とは

心室細動(しんしつさいどう)は不整脈の1種です。心臓を規則的に収縮させる電気信号に以上が起こり、筋肉がけいれんしている状態を指します。心臓の筋肉が規則的に収縮しないため、全身に血液を送るポンプ機能は実質停止。心室細動が起きて血液が全身に行きわたらない状態が3〜4分続くと脳の回復が困難になり、元の生活に戻れる可能性が低くなるとされています。

AEDは電気ショックを与え、心筋のけいれんを停止させられる可能性がある唯一の手段です。

心室頻拍(VT)とは

心室頻拍(しんしつひんぱく)は、1分間に100回以上の拍動が3拍連続で続く状態をいいます。こちらも致死性の不整脈の一種です。心室頻拍が起こると、脈が早すぎて心臓が血液を送ることができなくなり血圧が低下します。この状態が30秒以上続くと心不全や心室細動を引き起こす原因となります。

対処に迷ったときはAEDのガイダンスに頼る

とつぜん目の前で人が倒れたとき、医療の知識がない私たちが原因や正しい対処法を見極めるのは困難です。そこでAEDが必要になります。AEDは電極パッドを貼ることで心臓の状態を確認し、適切な判断を下す医師的な役割をもっています。呼吸をしていない、または呼びかけても反応がない場合はAEDを使用しましょう。

「AEDを使用した方がいいのか分からない」という場合も、必ずAEDを使用してください。AEDで処置できない場合は、「電気ショックは不要です」というガイダンスが流れます。電気ショックが不要な状態で電気ショックが流れるボタンを押しても何も起きないので、判断を誤ることはないでしょう。

AEDで助かる命がある

突然目の前で人が倒れたとき、近くに医師や看護師がいて助かったという状況は稀です。そのような局面にあっても、一般の人ではどう対応していいか分からず、救急車が来るまで何も処置できなかったというケースがほとんど。

AEDの設置は、施設利用者や社員・従業員、そして自分の命を守るカギになります。電気ショックが不要な場合でも、心停止している場合は心肺蘇生が必要です。その手順もAEDのガイダンスに沿って進められるため、救命に繋がるでしょう。

参考資料

※1)参考 Part 4: the automated external defibrillator: key link in the chain of survival. European Resuscitation Council. Resuscitation. 2000;46(1-3):73-91.

※2)参考 東京消防庁(http://www.tfd.metro.tokyo.jp/lfe/kyuu-adv/tksei01.html)

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