安全配慮義務ではどのような取り決めがなされているのでしょうか。AEDの設置と安全配慮義務の関係について見ていきましょう。
安全配慮義務とは、労働契約法の5条にて定められた企業側が負う義務のことです。従業員が安心して働くために、企業側が安全の確保をしつつ必要な配慮を行うことを義務として定めています。
ケガや事故といった危険が伴う工場現場・建設現場などの仕事では身体面での安全が考慮されますが、安全配慮義務では身体だけではなくメンタル面の安全・健康への配慮も求められています。
ただし安全配慮義務の実施に必要な具体的施策は今のところ明確化されていません。そのため、企業側が職場に合わせて対策を講じる必要があるのです。
安全配慮義務を守らない・違反しているとされる企業は、以下の4つの基準に則って判断されます。
企業が配慮義務を怠っていなかったかどうか、従業員に問題が生じることを予見できたかどうかを問われます。
これらの基準から安全配慮義務を違反したと判断された場合、現時点では労働契約法に罰則についての明言はないものの、高額な罰金を科せられるケースもあります。
例えば大幅な時間外労働が認められた場合や、長時間労働によるうつ病の発症などがあったケースでは、安全配慮義務の違反として大きなトラブルに繋がります。
AEDの設置が義務付けられているわけではありませんが、AEDがあれば防げる事故はいつ・誰に起こってもおかしくないため、必須ではなくてもAEDを設置するケースは多くあります。
実際に、2017年に日本国内で1年間に心停止が原因で救急搬送された患者は127,018名にも上り、そのうち約半数は一般市民による応急手当てが実施されています。救急車到着までにAEDなどで応急手当てをすると、何もしなかった場合と比較して救命効果は高くなります。
ある企業では社員が出張先で倒れた際、近隣にAEDが設置されており、従業員の一人が救命講習を受けていたため一時救命処置が行われ、無事に回復したケースもあります。