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AEDの設置に関する基準とルール

厚生労働省によるAED設置基準のガイドライン

AEDを適正に設置するためには、一般的に厚生労働省が通達しているガイドラインに則って行なうようにしてください。

これは一般財団法人日本救急医療財団の「非医療従事者によるAED使用のあり方特別委員会」において、AEDの効率的・効果的に設置するための指標となるものです。

このなかに主にAEDを設置すべき業種やAEDを配置する際に気をつけるべき点がまとめられています。

ここでは主なポイントを抜き出して紹介したいと思います。

設置場所について

効率性や効果を考えるならば、心停止の発生頻度が高くなる人が集る場所やリスクのあるイベント、救急隊の到着までに時間のかかる場所などへの設置が望ましいとされています。

具体的なAED設置が奨励されているところは以下の通りです。

AED設置にあたっての配慮すべきルール

AEDは心停止してから直ぐに処置を行なえば、それだけ蘇生率が高くなるわけですから、まずは「5分以内に除細動が可能な配置」がポイントです。

そのために普段から人目につくわかりやすい場所に設置すべきです。また誰もがアクセスできる場所であることも重要です。間違っても鍵が掛けられているようなところにあっては、肝心な時に意味をなしません。

運動場や体育館など心停止のリスクがある場所も有効です。

さらに施設案内図へのAED配置図の表示、エレベーター内パネルにAED配置フロアの明示をすること。

AEDがどこにあるのか、配置場所の周知徹底を図ることが望ましいでしょう。

AED設置にあたっての配慮すべきルール

AEDは施設に常備させるほか、一時的なイベントや心停止のリスクが高まる状況では、特に配置が求められます。

どんな状況でAEDが必要になるのか、どのように配置するべきかなどをご紹介します。

マラソンなどの強度の高い運動を行った場合、心臓麻痺などの突然死が起こる危険性が高くなります。

最近では、マラソン大会で心臓突然死が発生するリスクは10万人参加者がいれば0.5件の割合で発生するという報告もあり、実際に市民参加型のマラソン大会で心停止が発生する事例も数多くあります。

その時に、AEDを導入していたために心拍を再開させて生還できた例も多く、マラソン大会でのAEDの重要性は非常に高くなっています。

大規模なマラソン大会では、ゴール地点だけでなく、並走車に積んで移動させてどこでも使えるようにしておくとさらに有効です。

野球やサッカー、ラグビーなどの球技や空手などの競技は、ボールが胸に当たったり、人同士がぶつかりあったりという事故が多く、その衝撃で心臓震盪を起こして突然死を招くこともあります。

こういったスポーツによる若年者の突然死が全体の20%も占めているので、きちんと対処をする必要があります。

こうしたスポーツを開催する際には、AEDの準備をしておけば突然死のリスクを減らすことができるでしょう。

突然死は外出時だけでなく、自宅で発生することもあります。

特に、若年者の肥大型心筋症、運動誘発性心室頻拍など、突然死のリスクが高い人で除細動器の植え込みなどを行っていない人は、AEDを自宅に設置しておき、万が一の時に救助してくれる人がいれば、自宅での突然死のリスクを減らすことができるでしょう。

心臓疾患を持つ人の状態や年齢、意向などによって、植え込み型の除細動器を使用しないこともあるので、救急車が間に合わないような時でも、AEDがあれば家族による緊急対処も可能になります。

AEDの必要性

日本の心疾患による死亡者数は年々増加しており、日本人の死亡原因の第2位となっています。病院外での心肺停止や心臓に突然症状が出て死にいたる「心臓突然死」は年間で約6万人にも及び、単純計算で毎日160人以上が心臓突然死を迎えていると言えます。

心臓突然死を引き起こす原因の一つには、心臓が小刻みに震えることで体に血液を送り出す機能が失われてしまう「心室細動」があります。心室細動は不整脈の一種で、心臓に異常がなくても発症する危険があるため、誰にでも起こりえることであり、病院外で心肺停止に襲われたときに「AED」が活躍する場面も少なくありません。

AEDってどんなもの?

AEDとは「自動体外式除細動器」の略称で、「Automated External Defibrillator」の頭文字を取ったものです。 心不全や心筋梗塞、胸部に受けた衝撃から心停止を起こす心臓震盪、狭心症などが起こると、多くの人は意識を失ったあと1時間以内に死亡してしまいます。

心肺停止状態になると心臓がポンプの機能を失い、心臓の機能が数分で完全に停止し、死亡してしまいます。 心室細動発生から5分後では救命率は50%にまで下がり、その後は除細動が1分遅れるにつれ社会復帰できる確率が7〜10%ずつ下降してきます。

もし、心臓の痙攣である心室細動が続いていて、2分以内にAEDによって電気ショックを与えて除細動を行えば、救命確率を80%以上まで高めることができるのです。

AEDは1950年代から実用化が始まりましたが、ここ数年になってやっと効果が認められて認知度も高まり、多くの人を救えるようになってきたのです。

他人任せにはせず、自分が動こう!

一見元気そうに見える人でも、突然心肺停止になって倒れることもあります。この時、重要なことは1分1秒でも早く対処をすることです。

病院に運ばれてから高度な治療をしても、救命率が上がることはほとんどなく、心肺停止状態で血流が途絶えると、脳や心臓は数分で障害を受けて後遺症が残ってしまう場合もあります。

すぐに心臓マッサージを行って心室細動を維持できれば、心肺蘇生による生存率を2〜3倍上昇させることができ、AEDを併用すれば4倍の救命率が実現するとも言われています。

しかし、心臓マッサージや人工呼吸の必要性はわかっていても、どうすればいいのかわからなくて実行に移せない人も多いでしょう。

AEDは本体の電源を入れると、音声とモニター画面から使用方法のガイダンスが流れて、誰でも落ち着いて処置ができるようになっています。

また、AEDは電気ショックが必要としているか判断することもできるので、使うべきかどうか迷った時にも頼りになります。

もし、近くで突然倒れた人がいたら、119番へ通報するとともに、AEDのガイダンスに従って胸骨圧迫による心肺蘇生や電気ショックを行いましょう。

現場に医療従事者がいるとは限らないので、条件は同じです。「誰かがやってくれるだろう」とみんなが思っていれば、結果的に誰もやってくれません。

少しでもAEDの知識があるあなたなら、率先して使いこなせるはずですので、他人任せにせず自分から動いてみてください。その勇気で救われる人がいるかもしれません。

大切なのは救急隊が到着するまで適切な心肺蘇生を継続することです。救急車を要請してから到着するまでには約8分かかりますので、まずAEDがあるかどうか探して、自分から蘇生処置を行えるようにこれらの知識を心に留めておいてください。

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